EDITOR’S REPORT

FOODIT TOKYO 2018開催への想い

外食産業の将来を担うリーダーが一同に集結、飲食店経営やテクノロジーの最新動向を共有し、未来への建設的な議論を行う場として年に一度行ってきた「FOODIT TOKYO (フーディット トーキョー)」も、今回で第四回目となりました。業界キーマンによる講演・パネルディスカッションなど全15セッションが予定されているほか、新たな試みとして、来場者と登壇者の相互理解や接点づくりのための“仕掛け”も準備しています。これまでの開催ヒストリーも踏まえながら、FOODIT TOKYO 実行委員長の中村 仁氏(株式会社トレタ 代表取締役)に、FOODIT TOKYO 2018への想いを聞きました。

■僕らが思っているより、未来は早く訪れている

立ち上げから4年、これまでにどんな変化を感じていますか?

中村 FOODITには豪華な登壇者による講演やパネルディスカッションのほか「未来総研」という、ある種の思考実験的なコンテンツがあります。これは第二回(2016年)から実施しているのですが、簡単に言うと「こういうテクノロジーが出てきているから、飲食業界ではこういうことが起きるのではないか?」という予測を皆さんと共有してきました。

そこで語られていた「まだまだ先の未来の話になるだろう」とされていたアイディアが、この二年のうちに実際に利用できるサービスとしてどんどん現実化しています。当時はそんな突拍子もない話、と思っていたことが当たり前になっていく。そういうのを目の当たりにしていると、僕らが思っているより未来は早く訪れているのかなと。定点観測で未来を語り続ける、というのは大事なことだと感じています。

–具体的にはどんな事例が印象的ですか?

中村 わかりやすいところだと「Uber Eats」です。第一回のFOODIT TOKYO 2015で、小澤 さん(ヤフー株式会社 執行役員ショッピングカンパニー長)が海外でデリバリーが伸びている事例を引き合いにして「日本でも出前が伸びるかもしれない」とおっしゃっていたのですが、当時、聞いている側でピンと来ている人は殆どいませんでした。しかし今や、デリバリーの可能性を疑う人はいないでしょう。デリバリーサービスはこの二年で飛躍的に認知が広まったと思います。実際に使ってみた人のSNS投稿、フォトジェニックな画像やクーポンコードを通じて、違和感なく広まっていった感じがします。

デリバリーに近いところだと、ケータリングの替わりになるようなものとして、指定の場所に出向いて出張料理をする「シェフの派遣サービス」も出てきています。古くから個人で出張料理を提供されている料理人の方もいましたが、ごく一部の限られた人たちが特別な日に利用するにとどまっていました。しかしこの2年くらいのあいだに、一気に一般的になりつつあると言えるでしょう。スマホで簡単に利用できるようになったことはもちろんですが、シェフの立場からも、いわゆる働き方改革や副業といった社会的な追い風を受けて急速に広まっています。

こういった変化は、日々の生活の中で少しずつ起きているために、見過ごしてしまうことも少なくありません。だからこそ、FOODITのような場で定点観測的に振り返り、未来を見通すことには大きな価値があると思います。改めて、ここ2〜3年の変化を整理すると、社会や業界の変化を実感できますね。

–「Food×Tech」という文脈については、現在どう感じていますか?

中村 僕はテクノロジーは手段に過ぎないと思っています。重要なのは「それを使って何をするのか」というところです。つまりテクノロジーそのものではなく、それがどう使われるかという視点が不可欠なんです。

言い方を変えると、もはやIT化は当たり前の話なんですよね。僕らが今置かれている状況は、「IT 化するかどうか」ではなく「ITによって何を実現したいか」を考えなければならないところまできています。今回のFOODITでも、その視点にたち、飲食店経営者のみなさんにとってある種の気づきに繋がる、これからのお店づくりのヒントになるような「補助線」を一つでも多く提供したいと考えています。

■「場づくり」の原点に戻ろう、もっと「対話」しよう

–新たな試みとして準備されている「仕掛け」とは、どんなものでしょうか?

中村 今回は、カンファレンスルームのとなりに「コミュニティスペース」を設ける予定です。それぞれのセッションが終わったら、各登壇者はコミュニティスペースに移動していただき、そこでより濃密に、セッションの「続き」を行います。参加者の皆さんとより近い距離感で、セッションでは語りきれなかったことや、より突っ込んだQ&Aがやりとりできるような場を作ります。前回までは一方的に講演を聞くスタイルが主流でしたが、今年は場づくりの原点に戻ろう、と。登壇者や聴講者という立場に関係なく、もっと「対話」が発生する場にするのが狙いです。

「対話」はFOODIT立ち上げ当初からの大切なテーマでもあり、カンファレンスに集まる人と人の距離感を縮め、そこで発生するたくさんの対話から、新しい価値や発見が生まれるような場にしたいと思うのです。熱量がキープされた状態で、興味のある人により近づいて深い話が聞ける、という場を実現したい。登壇者の方にとっても来場者の方は何を求めているのか、話した内容に納得していただけたのか、反応をより近くで感じられることには意義があると思っています。コミュニティスペースでのディスカッションから新しい未来が生まれるといいな、と思っています。

–改めて今、「対話」が必要だと思った理由は?

中村 ある経営者の方がおっしゃっていたのですが、これまでの外食の枠の中で発想していては、もうこの業界はダメだと。一方で、「食」の領域には、さまざまな形で「外部」のプレイヤーが次々と参入しているという現実があります。つまり、外食の未来を考えるなら、自分たちが当たり前だと思っていた常識を捨てて、素人のような新鮮な目でもう一度自分たちの事業や産業を捉え直す必要があるのです。そのためにも、多種多様な人たちが交わることで化学反応が生まれるような、そんな仕掛けが必要だと考えています。

FOODITには、外食の経営者はもちろんですが、ITを始めとした隣接業域で活躍されている方々も多く来場されます。さまざまなバックグラウンドや専門知識を持った方々との対話の中から、未来の外食に向けたヒントが見つかればと期待しています。

どんな議論を期待していますか?

中村 近年の業界の動きを見ると、ある種の「業態開発の限界」のようなものを感じることが増えてきています。業態開発という名の差別化競争は行き着くところまで行き着いてしまい、もはやお店づくりは究極のニッチともいえる領域まで達しています。その危機感や閉塞感もあるのでしょう、少し前からは「モノ消費からコト消費だ」とか「これからは個客の時代だ」「顧客との繋がりだ」だとか、さまざまな提言がなされていますが、しかし業界としていまだに「業態開発のその先」を見つけることはできていないのではないでしょうか。

今回のFOODITでは、そんな視点からもいくつかのセッションを用意しています。今ある業界の「当たり前」を疑い、これからの新しい外食のあり方を模索するヒントになるような、そんな議論が展開されたらと願っています。

FOODIT TOKYOでは、そのショーケースとなるものをひとつでも多く提供出来ればと思いますし、登壇者も参加者もそれぞれが真剣に考えてディスカッションする場として、これからの飲食業界の可能性を感じる場所、気づきを得る場所にしたいと思っています。

 

《FOODIT TOKYO 2018 開催概要》
日時:2018年9月13日(木) 12:00 – 20:00
場所:東京ミッドタウンホール

FOODIT TOKYO 2018の詳細はこちら

FOODIT TOKYO 2017ダイジェストムービー
https://www.youtube.com/watch?v=i7G_o6fy3r4

FOODIT TOKYO 2018
@ Tokyo Midtown Hall

開催日時:2018年9月13日(木) 11:50 - 19:00
場所:東京ミッドタウンホール

チケットはこちらから

FOODIT TOKYO 2018
@ Tokyo Midtown Hall

開催日時:2018年9月13日(木) 11:50 - 19:00
場所:東京ミッドタウンホール

チケットはこちらから